長島愛生園将来構想アンケート概要


2005年6月17日
長島愛生園入所者自治会
会長 日野 三郎


 愛生園の平均年齢は78歳を超え、超高齢化が進んでおります。入所者数も444人となり、将来への不安が高まっております。
 
 国は「最後の一人まで」と意志表明をしていますが、実際問題として、医療・看護、園内整備など具体的事例はあまり示されておりません。特に医療面に関しては医療細分化に伴い、園外の病院への委託治療が増加しており、ハンセン病特有の後遺症を持つ不自由者が外部病院へ入院する際の不安は増大しております。
 
 国の誤った政策として終生隔離が行われ、それに伴い園内で生活することを余儀なくされた我々の終焉をより人間らしく、より平穏に過ごすために療養所の将来を検討するにはすでに遅いかもしれません。しかし、今話あわなければ入所者の声を踏まえた本当の意味での療養所での平穏な生活は望めないと思います。

 今回、ここで紹介する内容は先日、園内で行われた「愛生園将来構想アンケート」の概略です。中には現状問題での切実な意見も含まれていますが、皆、おおむね将来の療養所に不安を抱いております。

 療養所の将来構想に関しては、各療養所の現状によっても違っており、非常に難しい問題ですので、すぐに結論に至るということは無いかと思いますが、我々にとっては切実な問題です。出来るだけ早く安定した将来が展望できるよう、今後とも是非関係各位様のご協力を仰ぎながら検討を続けていきたいと思いますので、ご助力いただければ幸いです。

年代別割合



居住区別状況



入所期間



入所年齢



退所経験



退所経験者 年数



園内での交流
(1)居室を訪問するなど日常的な付き合いをしている人がいる
(2)趣味活動を通じて付き合いをしている人がいる
(3)会えば挨拶を交わす程度の付き合いの人がいる
(4)付き合いをしていた人がいたが 今はいない
(5)付き合ったことはない



入所者以外の後見人



親族との交流は、予防法廃止後、或いは熊本判決後からですか?
(1)以前から
(2)以後から
(3)交流はない



県主催の里帰りには?
@ 参加している
A 過去に参加したが 現在はしていない
B 参加したことはない



居住環境について
(1) 高齢、身体が不自由になっても現在の部屋に住み続けたい
(2) 高齢などで日常生活が不自由になれば、不自由舎棟への移動を考える
(3) 今は特に考えていない
(4) その他



昨年1年間に園外の医療施設を利用したことがありますか?
@ はい  
A いいえ



主な意見
重度障害者の外部入院は困る。手術等園内でしてもらえるようにしてもらいたい。
園外ではなく、園内での手術を希望したい。
後遺症があると気をつかう
園当局、看護師、介護員その他職員に入所者園外入院、検査等で大変ご負担をおかけします。その上、入所者高齢に伴い、入所者後見人も同様高齢化、遠路見舞い、医師の病状説明に同行、入院者としては後見人の健康が何より心配、このことを考えてください。外部病院に感謝しながら後見人に気をつかいます。

今後の生活について不安に思うことがありますか。複数ある時は、 あてはまるものに○をつけてください。
@ 健康や医療・介護体制の問題
A 職員数の問題
B 入所者の高齢化と入所者数減に伴う問題
C 居住内容の問題



今後 安心して療養生活を送るために どのようなことが必要だと思いますか。複数ある時は、あてはまるものに○をつけてください
@ 医療・看護の充実
A 不自由者棟の看護・介護体制の充実
B 不自由者棟の夜間体制の充実
C 中央介護棟の診療体制の充実
D 一般舎地区の保健活動、看護・介護の強化
E 寮舎を含めた居住環境の整備
F 病棟・外来治療棟と不自由者棟・一般居住棟が遠距離にあること
G 光明園との相互医療交流の促進



高齢化と不自由度の増進を考え、将来的に病棟、外来治療棟と不自由者棟、一般住居棟が距離的に遠いことの解消について、住居の集約を含め、必要である。( 賛成 ・ 反対 )



不自由者棟での医療・看護・介護の充実のため、職員の有効活用を将来的に考える時、集約住居が必要であり、その為の整備も必要である。
@ 賛成である
A どちらかというと賛成である
B 反対である
C 積極的な反対はしない



医療機関として存続するため、外部の人達が外来診療に訪れたり、入院することについてどのように考えますか。
@ 賛成する
A 抵抗はあるが賛成する
B 理解はするが反対である
C 反対する



入所者以外に一般の人達を居住地区に住まわせることについて
@ 賛成する
A 区域を分けていれば賛成する
B 抵抗はあるが賛成する
C 理解はするが反対である
D 反対する



主な意見
医療機関として存続する為必要であり、賛成である。感じとして入所者と外来者との間には今なお抵抗もあろうが、月日が経てば自然に友好出来ると思う。医療の場も生活の場も時間をかけ、協力すればよりその立場立場を守ればよい。障害者と外来者の生活は別なほうがよい。
ハンセン病に対する理解が前提条件であり、私たちも開かれた施設を目指したい。現在は抵抗はあるが、将来的には賛成。基本は医療施設を。
私達は国費、相手が公立であっても処遇のちがいはお互いの関係でまずくなるのではないか。人間の共通項がなければ共存できない。
これだけの設備があるのだから、将来瀬戸内市か、岡山県の管理する医療機関、身障者老人ホーム的な施設に移行して行くのがよい。(ただし島に来て住もうという人が居るのかどうか)

愛生園の将来についてこうあればいい、こうしたいなど、ご自身の思い、ご意見があれば自由に述べてください。

2001年の厚生労働省との約束とおり、最後までみてもらうことを約束してほしい。
すべて手遅れである。7センター平均年齢82歳、10年先は考えられない。
1後見人になってくれる人が少なくなると思うが園、自治会で最後の一人について充分に検討し、安心できる様対策を立ててほしい。2金銭管理についても本人が管理出来ない場合は園と自治会が協力して責任を持って管理してほしい。3病棟の医療看護について一番弱い病者の事をもっと真剣に考え、温かい心をもった医療・看護・介護をしてほしいです。まず、寝たきりでベッドに居る人、車イスに座っている人達を長時間放置しないでつねに声をかけたり手足のマッサージやリハビリに又、歩行訓練などにもっともっと力を入れてほしい。
高齢化の進む療園はあと10年もしたら平均年齢も90歳近くなると思うので残された生命を大切に人間として生まれた価値、意義をたしかめて生き抜きたいと思っている。そして職員の皆様も入園者の気持ちを知る努力がほしい
長島を自然公園として、県民の憩いの場所として残されていくことを願う。在園者にとっても安らかな老後が送れるように「むつみ」をもっと風通しよく、見舞いも行き易く出入り出来るように
みんな仲良く遊びたい、外からの演劇や歌など気分転換したい。里帰りも出来なくて、家人もめったに来なくてさみしい。
この島を桜の島として我々の使命として終わりにしたい。それには光ヶ丘の今ある桜の木を手入れして、枝の下草を刈り、空き地には桜を植えて将来、桜の島として後の代に引き継いで生を終わりたい。
このアンケートは多岐にわたっておりますが、超高齢化による痴呆の増加等の将来ビジョンの核心になる問いがありません。正直云って、入所者がボケず、正気で生活できるのもここ10年と考えるとき、10年〜15年の将来ビジョンが大切かもしれません。が、ここ10年以内に入所者の高齢化による痴呆の増加を直視して、医療面の人権介護の徹底さす体制を確立してください。いづれは正気をなくしても安心できる療園を構築してください。空室への一般人の居住の是非云々は愚問と思います。
どこにでもある地域社会のようにハンセン病施設の枠をはずし、医療施設、障害者施設、さらにはホテル(観光)や民宿の点在する良島村、愛生村も夢があっていいように思いますが・・・
住居の集約をのぞみ、医療・看護の充実、又日常生活が安心してできる愛生園をのぞみます。
入所者が極度に減少した時には、老人施設、又は他の医療施設との併設が考えられるのではないだろうか。
医療をもっと充実させてもらいたい。
外部に入院すれば淋しいけれど、良き治療を受けられるのであれば、それも良いと思います。
園内の医療充実を計り、外来治療に出なくても所内で処置できる事を願う。
当分の間、現在の居住様式で生活することになると思うが、その際、プライバシーが守られる居住の様式がほしい。例えば2センターのように洗面所、台所をとりこんだ部屋の構造で他人に干渉されない生活がしたい。
外部に入院の際の付き添いについて考えていただきたい。特に不自由な者にとっては重要だから。