新年のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。
 皆さんにとってこの一年が、心豊かで平和な年でありますよう願っています。
 今年は、12支の「未」(ひつじ)年ですが、「12支の起源」によれば、始めの「子」(ね)は1月、
北斗七星は地平線に垂直となり、その形を記号にし、変形して「子」(ね)となり、8番目の「未」
(ひつじ)は稲穂が実り、大地に根をしっかりついた姿が変形し、「未」(ひつじ)となったとして
います
 「未年」(ひつじ)の今年は豊かで実りのある年になってほしいものだと思います。
 長島愛生園では、新年を迎えた入所者は、507名(男性295名、女性212名)、平均年齢は
75.98歳(男性75.2歳、女性77.05歳)と年々長寿を重ねており、喜ばしい限りです。
 人間の尊厳という崇高な精神を、今一度国及び国民に問う画期的な「らい予防法」違憲国家
賠償訴訟の判決が熊本地裁で下されて今年は三年目に当たりますが、社会復帰対策など一部
で前進が見られますが、偏見・差別解消、在園者・退所者の恒久対策、人権侵害の事例を含め
た真相究明などの問題が残されています。
 1月17日には、真相究明のための検討会と調査班の会議が東京で開催されますし、1月20日
には、昨年開催されなかった厚生労働省副大臣を座長とする第六回ハンセン病問題対策協議会
が、原告団、弁護団、全療協各代表が出席し、積み残されている諸問題について厚生労働省と
の詰めの交渉が行なわれますが、これを機にさらに具体的な解決を目指すことになります。
 長島愛生園入所者自治会としては、医師の充員、不自由者棟の夜間看護体制の強化など医療
看護の充実、旧事務本館の保存(資料館)予算の確保、船越橋の補強工事、将来構想に基づく
不自由者棟工事の継続など問題が多く残されています。
 年明け早々から、平成15年度執行委員の選挙が去年暮れにつづいて行なわれ、自治会として
の体制作りに入ります。
 裁判判決後、特に来訪者も多くなり、昨年一年間、自治会を通じての来訪者は、127団体、
3867名、その他の団体・個人を含めると5000名以上に達するものと思われます。今年もこうし
た交流・研修会も多いのではないかと推察されます。
 今年も、人権が守られ、差別のない共生社会を目指して皆さんとともに歩んでいきたいと思い
ます。
 今後とも、皆さん方の一層のご支援と、ご指導をお願いいたします。


                                   国立療養所長島愛生園 入所者自治会
                                                    日野 三郎