大館市長への質問状7月4日
2012年7月4日
大館市長
小 畑 元 殿
放射能を拡散させない市民の会
会 長 石 田 寛
大館市字大館105
質 問 状
小畑市長におかれましては、日頃より市民生活向上にご尽力くださり、心から敬意を表します。
東日本大震災から1年4ヶ月を経過しようとしておりますが、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉は一向に進まず、被災地では多くの市民が仮設住宅に住むなど避難生活を強いられ、秋田県内でも多くの避難者が不安を抱えたまま過ごしていることに、同じ国民として私たちも心を痛めております。
さて、「震災がれき」受け入れ問題について、自治体間・市民間で賛否の意見が分かれております。
私たちは、大館市においては、放射能に汚染された「焼却灰問題」がいまだに解決されていないことから、「震災がれき(=災害廃棄物)」受け入れについては、問題があると申し上げてきました。
また、災害廃棄物に関する状況は日々刻々と変化しております。そこで、大館市の現状と対応について、以下の7つの質問に、7月10日頃までにご回答くださいますよう、よろしくお願いいたします。
記
質問1)環境省は6月29日、岩手県の震災がれきの可燃物については「処理にめどがついた」と正式発表した。つまり大館市が受け入れを検討する必要性がなくなったわけだが、その事実を市民に対して公表しないのはなぜか?また、現地視察・試験焼却の必要性がなくなったのに実施するのは、税金の無駄遣いになるのではないか?
質問2)震災がれきには、“焼却”する以外にも処理する方法がある。宮城県議会では、県議会議員連盟が発足し、「緑の防潮堤」「がれきを活かす森の長城プロジェクト」による、現地での震災がれきの処理を推進しており、宮城県丸森町、岩手県大槌町ですでに実施されている。大館市として、市民や市内の建設業者の協力をもらい、作業のために人や機材を現地に派遣し、防潮堤の建設と現地の復興に協力する考えはないのか?
質問3)可燃物の震災がれきの処理の必要が無い場合、大館市では不燃物の震災がれきの受け入れを検討するのか?不燃物を安全に管理できる最終処分場を大館市は所有していないが、市内の産業廃棄物業者の処分場に協力要請する予定はあるのか?また、震災がれきだけでなく、秋田県内・大館市内に放射能汚染された産業廃棄物が搬入されているとの情報があるが、大館市はその実態を把握しているか?業者に廃棄物の放射線量測定を義務付け、搬入する場合の放射線量基準値を明確化・厳格化する予定はないのか?
質問4)環境省(国)は、震災がれきを処理した場合の健康被害など実害については「想定していない」としている。災害廃棄物特別措置法では「支障が生じたり、その恐れがあるときは、市町村長が必要な措置を命じ」「環境大臣はこの規定が適用されない」、つまり受け入れ自治体に責任があり環境省(国)には責任がないとしている。静岡県島田市では、焼却試験後、市内の土壌や樹木(松の葉)の降下物で放射性物質の数値が上昇し、お茶農家やみかん農家ではすでに風評被害が発生しているが、環境省は対策も賠償もしていない。大館市でも同様の事態が予測され、被害は大館市(市民)が税金で賠償することになるが、それでも受け入れるのか?これまで大館市は環境省に責任の明確化を要望してきたようだが、それに対する回答はあったのか?
質問5)首都圏からの放射能汚染された焼却灰が花岡町の最終処分場に埋め立てられたままになっている問題は、いまだ解決されていない。小坂町議会では、全会一致で焼却灰の実態の再調査を決議したわけだが、大館市としてはどう対処するつもりか?この問題が解決しないまま、震災がれきの受け入れを検討するのは、順序が違うのではないか?
質問6)大館市では、岩手県野田村の震災がれきの分別作業施設の視察に一部市民を同行させると聞いている。一部市民の選出や人数の設定は、どのような基準のもとに行ったのか?
市民の関心が集まる問題であるからこそ、大館市側の一方的な基準で選出したメンバーではなく、市民への公募を実施するべきではないのか?市民の会からも是非同行させてほしい。
質問7)秋田県の学校給食の検査体制は、測定品目・測定回数・検出限界値から見て、まだ不十分であると考える。子供の健康への影響や保護者の不安の解消のため、検出限界値5ベクレル/kg以下のゲルマニウム半導体検出器を大館市に導入し、きめ細かい検査を実施するべきと考えるが、市の見解をいただきたい。
以 上
秋田県大館市長への公開質問状と回答
1.大館市花岡地区にあるエコシステム秋田へ放射能汚染されている他県からの焼却灰の受け入れを中止していただきたい。また、同様に他処理場へ向かう放射能汚染物質についても市内の運行を中止していただきたい。
ご承知のとおり、現在、焼却灰の受け入れは中断していますので、大館駅から花岡や小坂へ向かう焼却灰を運行する車両の通行はありません。
これまで述べてきたとおり、市民のご理解がなければ再開はしません。
2.震災後に濃度も分からず埋め立てされた灰に関し、大館市は大館市民の生命や健康に対し、どのような責任があり、対応されたのか。
市は、市民の生命や健康を守る責任があります。これまで、処分場とその周辺の空間放射線量や、処分地からの排水、地下水のモニタリングを行い、安全であることを確認し、公表しています。
今後もこうしたモニタリングを継続していきます。
3.震災後の濃度も分からず埋め立てされた灰に関し、申し入れ団体の立会いの下、現地にて濃度測定を行わせていただきたい。担当課と相談させていただきたい。
現地で定期的に行っている放射線量の測定の際に、市民も立ち合わせることをDOWAに申し入れましたが、安全確保のため、場内へは部外者の立ち入りは遠慮願いたいと回答を受けとました。
しかし、立ち入りに関しては再度、DOWAと相談していきます。
4.震災後に埋め立てされた灰に関し、埋め立てられた正確な日付と容量を公開していただきたい。運搬記録、搬出、搬入記録を提出していただきたい。
市では、埋め立てた容量を月単位で報告を受けていますが、1日単位での容量やそれぞれの記録は受けていません。
しかし、できる限りの情報を公開したいと思っています。
5.震災後に埋め立てされた灰に関し、今後の対応を再度検討し、市長に是非を確認していただきたい。(返送するのか、管理し続けるのか)
市民(市長?)に是非を確認ということですが、処分場の管理にかかる指導監督は県が行うことですので、埋め立てたものについては、県と協議して現実的な対応をしたいと思います。
6.市内に汚染灰が埋め立てられている以上、計測地と計測頻度をもっと増やしていただきたい。特に子供が使用する公園、幼稚園、学校、通学路を徹底していただきたい。
学校などの教育施設等については、これまでも計測を実施してきましたが、今後も強化していきたいと思います。
公園などの施設についても、できるだけ対応したいと思います。
7.エコシステム秋田場内で申し入れ団体の濃度測定をさせていただきたい。
3の回答と同じ。
8.現在受け入れている産業廃棄物のエコシステム秋田場内で計測をしていただきたい。そしてそれを大館市のHPで公開していただきたい。大館市の検査は抜き打ちでお願いしたい。
エコシステム秋田の場内で、空間放射線量の計測は事業者が毎日行っているほか、市でも、週に一度測定を行い、ホームページで公開しています。
これからも必要に応じて調査を続けていきたいと思っています。
9.同様に汚染(放射性物質を含む)ガレキの受け入れについても、受け入れをしないように要請いたします。
震災で被災した地域のガレキの受け入れについては、今後の検討事項とさせてください。
10.DOWAホールディングス株式会社の東京電力への補償問題を積極的に支援していただきたい。
DOWAと協議してまいります。
11.大館市は新聞での発表によると、放射能汚染灰の受け入れを中断とあるが、いつ再開予定なのか。中止しない理由を教えていただきたい。
市民の理解を得られない限り、再開できる状況にはないとお答えしていますので、「中断」も「中止」も同義と考えています。
12.大館市役所の説明資料にある、『受け入れ側の住民の理解』とは何を意味しているのか、住民が理解したのか理解しないのか、どのように判断するのか。
反対の意見がある間は住民の理解が得られていないものと考えています。
13.大館市が積極的に市民説明会を開催しない理由は何か。
これまでの経緯や再開する場合の管理計画については、全戸配布したチラシでその概略を説明しています。
市民から要請があれば、これからも積極的にご説明を行っていきます。
14.大館市長は市民の理解がなければ受け入れはしないと新聞等のメディアで発表しているが、県知事、小坂町長とともに国にこの汚染灰の受け入れを法律化するように要請している。受け入れをするつもりなのか、真意を伺いたい。
放射性物質に汚染された廃棄物処理にかかる国の関与の明確化を求めたものであって、受け入れをするための前提として法制化を求めたものではありません。
15.震災後に濃度も分からず埋め立てされた灰に関し、大館市民の生命や健康に対し、誰に最終責任があるのか。
基本的には、2.で、市は市民の生命や健康を守る責任があるとお答えしたとおりですが、埋め立てされた灰についての最終責任はその灰を出した自治体にあると考えています。
埋め立てされた灰の今後の処分については、国や県と協議していきたいと考えています。
16.先日の説明会で出された質問についてですが、DOWAは元々マグネシウムの抽出のために大館市と契約し、関東圏から受け入れしたのではないかということに関し、契約書を開示していただきたい。
当時の書類は文書の保存期間を経過しているため、ありません。
現存する資料では、昭和63年6月7日に、一般廃棄物処理業の許可が付与されたことがわかりますが、マグネシウムに関する記録は、DOWAにも確認しましたが、ありませんでした。
17.小坂町に同様の放射能汚染物質が持ち込まれている。水源に汚染物質が入る可能性がある。大館市でどのような対応をしているのか。
5.でもお答えしたとおり、処分場の管理にかかる指導監督は、基本的には県が行うものと考えています。
市としては、今後、県の行う排水モニタリング検査結果を注視していきたいと思っています。
18.上記について、もし対応がなければ、対応、対策を検討し、市民に是非を確認していただきたい。
17.の回答のとおり。
19.県の許可により数十年前に検査されたという処分場内の能力や地下水への異物浸透、地下水経路を大館市独自で調査したことはあるのか。
市では、処分場内の地下水を検査した結果を毎月事業者から報告を受け、安全性をチェックしています。
今後も、監視を続けていきます。
20.秋田県産・大館市産食品の放射線測定を行うために測定器を備え、被災地に安全な食品の提供を検討してほしい。
食品とあるのは農畜産物のこととしての回答となりますが、県と市では、農畜産物の安全性を確認するため、放射性物質検査を行っています。
これまでに県では、大豆や比内地鶏などの主要農畜産物23品目・173検体の検査を行い、すべて不検出となっていることを県のホームページや新聞で公表しています。
また、市でも市内4か所で水田土壌の放射性物質検査を行い、この結果や農畜産物の放射性物質検査結果を市のホームページに載せて周知を図っています。
県では、これらの検査結果を踏まえ、10月8日に秋田県産農畜産物の安全宣言を行い、今後も継続することを検討していますので、市としては、そのデータを活用していきたいと考えています。
21.避難者を受け入れの具体的検討をしてください。子どもたちを学校に受け入れるなど避難者受け入れを検討してください。外で遊べない子供たちを夏・冬やすみだけでも受け入れできないでしょうか。
市では、震災直後から避難者の受け入れを行っています。
当市への雛者数は3月27日の57世帯143人をピークに、11月14日現在では、22世帯52人となっています。
また、児童生徒についても同様に受け入れを継続していて、夏休み期間中は児童生徒23人を含む13世帯46人が当市を訪れたほか、冬休みの受け入れについても、現在、検討しています。
<大変素晴らしい活動です。受け入れ募集をどのように行っているのか、どのような受け入れ内容なのかぜひ公表していただきたい。>
以上
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