| 中国・西域の旅 |
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| 1991年8月18日(日) カシュガルのバザール |
9時半起床、10時から朝食。
10時45分発。
新賓館に近いホージャ一族の墓から見学。17世紀中ごろ、カシュガルの実権を握っていた、アパク・ホージャが建立したという緑色のタイルを基調にしたドーム状の建物。建物の内部には5代にわたってホージャ一族の58の墓がある。中でも有名なのは清の乾隆帝の妃として召されながら皇帝を拒みつづけ病死したといい伝えられる香妃の墓であろう。家長の墓に比べ小さく控えめな墓が正面入って右後方にある。建物は側によって見ると、タイルや煉瓦の焼きが甘く、はげ落ちており、一部で修復工事も行われている。カシュガル周辺には聖人をまつる廟が多いとか。トルコやイランなどでも見かけたことがあるが、ここでもそれらの廟に参拝する者が多く、イスラムと土着信仰との混交をみる思いがする。墓の建物に隣接しモスクもあり、市民の墓地もある。ここでも内部のビデオ撮影は禁止。入り口の売店で民族楽器(弦楽器)90元とケース35元購入。
11時50分発。三仙洞へ。途中でバスのファンベルトが切れ、立ち往生。これ幸いと道路沿いの畑に入ってみる。トウモロコシ、キビ、綿花、ヒマワリ、アルファルファ等が目につく。ケシの花も。まさかアヘンをつくっているわけではないだろうが。修理に15分。空港に向かう解放北道を北に。空港は途中右折するがそのまま砂漠の中を走ること20分余り、左手の深い侵食谷の対岸に三仙洞が見えてくる。谷底から20mほどの垂直の崖に掘られた3つの洞窟。中国最古の石窟といわれ中には壁画と仏像が残っているらしいが我々は対岸なら遥かに眺めるだけ。足元の小石を拾い集め土産にする。
午前の観光は2ケ所のみ。同じ道を戻る。途中で雨が降り出す。砂漠地域で雨に出くわすのは珍しい。さすがに傘をさしている人は少なく、市街地で二人連れの女性が傘を広げているのを見たのみ。玉の加工場に寄り、13時30分新賓館着。14時から昼食。17時まで休憩。昨日買ったハミウリを切って配る。売店にてTシャツ10枚(100元)シルクの民族シャツ(70元)購入。
17時からエイティガル寺院とその周辺のバザールへ。1442年に建立されたという寺院は中国の西域で最大のモスクである。広場に面した正面左右にはミナレット、アーチ状の入り口を抜けると中はポプラの繁る庭が広がり、左側の空間では丁度礼拝中の一団。木造の舞台状になった礼拝場は絨毯が敷かれ、柱、壁の彫刻が見事。木造の建物のあるモスク、いかにも緑の多いオアシス都市カシュガルらしい。バザールはどこも楽しい。日曜日とあって大変な混雑。
木工、金工等の職人が店先で製造し販売をしている職人街はおもしろい。楽器、行李、ベビーベッド、調理道具、水差し等。人通りの多い道ばたで店開きした散髪屋もある。シシカバブーの臭いがあたり一面漂い、客寄せの大声が喧噪を増長する。寺院右手の路地は衣料品店が延々と並ぶ。色とりどりの布地が旗めき、単調な褐色の世界に生活する砂漠の民にいかにも好まれそうな派手な衣類が多い。広場を挟んで反対側には日用雑貨等の店が並ぶ。持ち帰るに容易なもので土産になるような物は案外少ない。時間があればおもしろい物が見つかるだろうが。ここでは土産用のナイフ3本(30元)、タン茶(3元)、ズックのカバン(9元)を買ったのみ。19時発、日曜市へ。20時まで40分余り、そろそろ帰途につく人の多い中を市の立つ通りを往復する。日用品の露店が多いが、通りに面しては鍛冶屋や木工屋が目立つ。農具を作る鍛冶屋と麺棒などの木工製品を作っている店先で時間をつぶす。ここではおもしろい木工製品を3点6元で購入した。
新賓館着20時20分、Oさんが買っていたハミウリを切る。今回の旅行中に買ったウリの中では一番。荷物を部屋の前に出し、21時から夕食。肉類はもうたくさん。長谷川さんが用意してくれたそうめん、キュウリ、それに発芽した豆を使ったスープがおいしい。身体は水気ばかり要求。ビールが旨い。部屋に戻り、シャワーを浴びる。
22時新賓館を出、空港へ。日本人観光客多し。日没22時30分。22時40分待合い室に。ウルムチからの定期便着く。中国製のバックだったからか何か不審な物でも写ったのかX線検査でひっかかる。23時搭乗開始、23時20分発。記念品の扇子は3本目。桑の実ジュース、ピーナッツ、お茶のサービス。0時30分下降始める。黄さんと中国旅行について雑談。新彊の旅は直接ウルムチの旅遊社に頼む方が日本の業者を使うより安いとのこと。北京なり上海まで来れば後は旅遊社が面倒をみてくれるらしい。0時45分ウルムチ着。1時15分空港発。時差を考えれば21時か、22時。しかし、バスから見る街中は暗く、一部の露店しか開いていない。暗闇の中を農産物を山積みしたトラックターや家路についているのかアベックで二人乗りした自転車がうごめいている。1時55分、街外れの友誼賓館着。今日の泊まりは2号館の215号室。明日(本当は今日)の日程連絡があり、部屋に入ったのは2時30分。シャワーを浴びている時に荷物が届く。バーボンの残りでお湯割。つまみは梅干しとピーナッツ。6時30分起床にもかかわらず床についたのは3時過ぎ。仮眠程度の宿泊。