シリア・ヨルダン旅日記 |
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1993年8月21日(土) ヨルダンからシリアに |
6時半起床。7時よりバイキング形式の朝食。種類は多いが、全てを試食する元気もなく、結局、果物中心の食事。体調に合わせ好みの物を選べるバイキングはツアーの旅行では助かる。7時半には部屋を出て、チェックアウト。電話の精算をし、手紙2通投函(1JD)。
バスの運転手はシリアのモハメッドさんに交代。ヨルダンの運転手ではシリア国内の運転ができないとのこと。モハメッドさんは元シリア空軍のパイロット。
8時丁度発。アンマン市街を抜けるのに20分。ザルクァZarqaまでは住宅地がつづく。その先は砂漠と畑。乾季の夏はほとんどが休耕しているため砂漠と畑の区別がつきずらいが、乾地農法による浅耕地はよくわかる。国境に近づくにつれ軍の駐屯地が増える。マフラックMafrakは軍事都市。戦車や装甲車両の並ぶ基地の横を8時50分に通過。国境の町、ラムサRamtha、9時15分。町に近い所ほどベドウィンのテント(ハイマ)が増える。テントの側には数個のドラムカンとタンク車、トラック。遊牧民の生活も大きく変化していることが窺える。ゆるやかな起伏のつづく国境地帯へ。緑はオリーブ、アカシア、松。9時25分、国境着。両替商の車に行き、T/C200ドル両替。T/Cはキャッシュに比べ両替率が悪い。中東の旅にはキャッシュを用意した方がよい。8340シリアポンド(£S)を手にする。1£Sが2.5円の見当だ。休憩所になっている売店でパインジュースを飲む(800フィルス)。30分余りで出国手続きが終わる。
国境地帯とはいえ遊牧民が羊を追い、畑も散在する。オリーブ畑もある。トーチカがあるが緊張感はない。アカバで陸揚げされた日本製品をはじめアジアからの輸入品は陸路トラックでトルコを経て東ヨーロッパ諸国やバルカン諸国に運ばれる。そのメインルートが一昨日以来走っているこの道である。大型トレーラーが多いのも当然だ。
10時13分、シリア側へ。56分、シリア入国手続き完了。
シリアのガイド、ナハス社のHさんがここから乗車。税関は運転手が交渉、顔が効くらしく荷物を開くこともなく、無事に通過。11時5分。しかし、国境通過に2時間余りかかった。
シリアに入ると目につくのは今にも分解しそうな車と壁が崩れかけた建物。ヨルダン側ではベンツやアウディーなどのドイツ車や日本車など新車が多く、建物も白壁のこざっぱりしたものが多くみられた。国境の町、ダラーDar'a通過。郊外の丘にミサイル基地。ただしミサイルは横にしたまま。緊張感なし。小麦畑が広がり、ぶどうやオリーブの畑も点在する。遊牧民も多い。石垣で囲った畑での脱穀風景もみられる。12時10分、ダマスカスの手前でドライブインに入る。食料品や雑貨、土産物を売る店が数軒集まっている。ぶどう、リンゴ、すももなどの果物とともに50個ばかりの大蒜を束ねたものを売っているのが目につく。軒にぶら下げた箒や玩具の中に楽器を見つける。マンドリンのような弦楽器のそばにタンバリンが一つ。少々くたびれかけたのが気に入り買い求める。300£S。13時、シャーム=パレス=ホテル着。チェックイン。211号室。荷物を置いて、すぐにスークの中にあるレストランまで行き、昼食。アラビアン=ミュージックの生演奏。屋根裏のような絨毯の壁に囲まれた部屋はムードはよいが冷房が効きにくく暑い。ヨーグルト味やいやに香辛料の強い煮物の器が並び、ナン(ホブス)をちぎって漬けて食べる。シシカバブーやシャカフ(羊肉の角切りを串焼きしたもの)、トマトサラダなど量は多い。食事の後は、バスの駐車している城塞前まで戻り、ダマスカス博物館へ。さすがに収納品は見事だが、展示の仕方がまずい上に管理も悪く、埃だらけのガラスケース、明かりの点かない照明など国立博物館としてはあまりにお粗末。
17時10分、博物館から城壁に囲まれた旧市街にあるアゼム宮殿へ。大型のバスが進入すれば道幅いっぱい、とても車が通行できそうにない商店街に無遠慮に突っ込んで行く。アゼム宮殿は、かってダマスカスを統治していたアサド=バシャ=エルーアゼムのパレスだ。各部屋には当時の調度品が展示されている。
宮殿から現存する最古のモスク、ウマイヤドモスクへ。ここにはローマ時代にジュピター神殿があり、後にキリスト教徒によってバジリカ礼拝堂が建てられたという。モスクは8世紀初頭、ウマイヤ朝(661〜750)の時建立された。イスタンブールのブルーモスクやラホールのバードシャーヒモスクなど今までに訪れたドーム屋根のモスクと異なり、連続したアーチの上に屋根がのっている。アーチを支える柱は大半は大理石の角柱だが、回廊の柱の一部にはコリント式の円柱が残る。広い中庭をとりまく、このアーチの柱廊の壁を飾るモザイクは19世紀の大火でほとんどが焼失し、一部が残るのみ。礼拝堂の中にキリスト教の聖人、ヨハネの墓がある。チャドリをつけていない女性は入口でチャドリを借らなければ入れない。黒のチャドリをつけた姿を記念撮影する一行に注がれるイスラム教徒の目が気になる。
モスクを出て30分余り、スークを歩く。19時45分集合しホテルに戻る。
21時からチャイニーズレストランで夕食。その前に20分ほどホテルの周辺を散策。シリアの民族音楽のテープ4本、300£Sで購入。
疲れひどく、入浴後ダウン。下痢と頭痛。